しび》が隙から射して、廊下を明るく照らしている。
血刀を下げて突っ立っているのは、宿老の木村常陸介であった。
足許に死骸が転がっている。一刀で仕止められた小四郎の死骸で、肩から胸まで割られている。
切口から流れた血が溜まって、廊下へ深紅の敷物でも、一枚厚く敷いたようであった。
「聚楽の乱脈はこの有様だ。とうてい長い生命《いのち》ではあるまい。……頼むは五右衛門ばかりだが……」
懐紙で血刀をゆるゆるとぬぐい、鞘へ納めた木村常陸介は、廻廊の欄干へ体をもたせ、奥庭の木立の頂き越しに、伏見の方の空を見た。
「これは不可《いけ》ない、仕損じたらしい」
公孫樹《いちょう》の大木の真上にあたって、五帝星座がかかっていて、玄中星が輝いていたが、一ツの簒奪星が流星となって、玄中星を横切ろうとした。
が、そこまで届かないうちに、消えてなくなってしまったからである。
「可哀そうに五右衛門は捕らえられたらしい」
一年後の花園の森
こうして一年の日が経った。
その間に起こった事件といえば、聚楽第の主人の秀次が、高野山で自害をしたことであろう。
木村常陸介をはじめとして、家臣妻妾が死んだこ
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