秀次は睨んだが、
「嫉妬か!」
「上様!」
「邪魔をするか!」
「はなしておやり遊ばしませ」
「其方《そち》こそ放せ! 手を放せ!」
「上様、お慈悲にござります」
「ふん」といかにも憎々しく、秀次は鼻を鳴らしたが
「先刻《さっき》自害をした女のように其方も自害をしたいそうな」
「いっそお手にかけて下さりませ」
「望みか!」と云うと秀次は、ドンと片足を持ち上げたが、ウンとばかりに蹴仆した。
と、悶絶をする声がした、胸を蹴られた葛葉の方は裾を乱して伏し転んだ。
一瞬間のざわめきの起こったのは、座に侍《はべ》っていた妻妾や近習が、一時に動揺したからであった。その動揺が静まると、反動的の静けさが、大広間一杯に拡がった。
「今夜はこれで二人死んだ。おそらくまだまだ殺されるだろう。殺せ殺せ、目茶苦茶に殺せ! 聚楽の栄華も先が知れている」
こう呟いた者があったが、刺繍《ぬいとり》の肩衣に前髪立の、眼のさめるような美少年であった。美童は不破伴作《ふわばんさく》であった。
狂人じみた目付きをして、秀次は大広間を見廻したが、
「目障りになる! 片付けろ! 死骸は厭だ! 井戸へでも沈めろ!」
それ
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