うに、彼女の勝利に帰したのであった。
これは当然と云わなければならない。敵を瞞ますには味方を計れ、こういう考えからしたことではあろうが、ともかくも良人《おっと》の私をして、一度は死をさえ覚悟させたほど、深刻な放縦な行動をとって、心身を鍛えた彼女であった、たかが詐欺師なんかに負けるはずはなかった。
佐伯準一郎氏は恭しく、銀三十枚を彼女に献じた。
そうしてその帰路不幸にも、フリーメーソンリイの会員に、暗殺されてしまったのであった。――佐伯氏を追って行った二人の外人、あれが下手人に相違あるまい。
25[#「25」は縦中横]
私達は一緒に住むことになった。
最初のうちは変なものであった。何となくチグハグの心持であった。だがそのうちに慣れて来た。
次第に二人は幸福になった。
彼女は昔の彼女になった。相変わらず私をあやし[#「あやし」に傍点]たりした。剽軽なことを云ったりした。
「今日は風が吹きますのよ。冬のように寒い風がね。まきまき[#「まきまき」に傍点]するのよ、まきまき[#「まきまき」に傍点]をね」
襟巻を巻けというのであった。
「たあた[#「たあた」に傍点]を穿くのよ。
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