と、女はスッと立った。私は無意識に表戸を開けた。
彼女は土間に立っていた。
私は胸に重さを感じた。彼女の顔がそこにあった。私は両肩を締め付けられた。彼女の腕が締め付けたのであった。
彼女の口から啜り泣きが洩れた。
「妾《わたし》は信じて居りましたのよ。きっときっといらっしゃるとね。ええ帰っていらっしゃるとね。……待っていたのでございますわ。……信じて下さいよ。ねえ妾を! 妾は純潔でございますの」
彼女は眼を上げて私を見た。で、私も彼女を見た。
「その眼がその眼である限りは、彼女の純潔は信じてよい」
そういう眼を彼女は持っていた。昔ながらに、依然として。
彼女の態度が一変し、バンプ型の女になったのには、大した意味はなかったのであった。そういう振舞いをすることによって、彼女は精神を大胆にし、そうして容貌を妖艶にし、そうして動作を高尚にし、それを武器として大詐欺師に対向《あた》り、大詐欺師をして屈伏せしめ、白金《プラチナ》三十枚を詐欺師の手から、巻き上げようとしたのであった。
そうとも知らずに煩悶した私は、要するに馬鹿者に過ぎなかったのであった。
で、結果はどうだったかとい
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