一冊持っていさえしたら、世界のあらゆる出来事はさながら掌上を指すがごとく理解出来るのでございます。で、拙者はこの書物を『聖典』と呼ぶことに致しました。さて、その聖典の暗示によって、この島のどこかに大宝庫があり、発掘を待っているということを、朧《おぼ》ろ気ながら知ることを得たのは十数年前のことであって、その時以来この島へ移住し、土人どもと交際をし今日まで暮らして参りました。最近聖典を失いましたため、一時研究を放擲《ほうてき》しましたが、大挙して諸君が参られたからは、再び勇気を揮《ふる》い起こし、所期を貫徹致すべく努力するつもりでございます」
ここで彼は一|咳《がい》したが、
「さて、ついては今日まで、十数年間この島に関して、研究致しました成績について、あらかたお話し致しましょう。……まず第一この島には宝石の土蔵がございます」
ここでまた一咳した。
「それから第二にこの島には黄金の土蔵がございます。そうしてこの島の樹木たるやいずれも珍木でございます。要するにこの島その物が一大宝庫なのでございます。しかるにこの島の土人なる者が、昔から剽悍《ひょうかん》でございましたので、幾多著名の冒険家
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