はズンズン海上を翔けて行く。
ジョン少年は櫂《かい》を操《あやつ》りドンドン小舟を進ませる。空は晴れ、海は凪《な》ぎ、大変|長閑《のどか》な日和《ひより》である。
舟はズンズン進んで行く。
長い間漕ぎ続けた。振り返って見ると、チブロン島は低く海上へ浮かんでいる。海鳥が無数に飛んでいる。
烏はどこまでも翔《か》けて行く。
今の時間にして一時間余りジョン少年は漕ぎに漕いだ。その時二つの大岩が行く手の海に現われた。伝説にある浮き岩である。岩のくせに水に浮いている。そうして互いに衝突《ぶつか》り合い、恐ろしい泡沫《しぶき》を揚げている。その泡沫は雪のように四辺《あたり》の海を濛々と曇らせ、行く手をすっかり蔽い隠している。そうして互いに衝突《ぶつか》り合う音が雷のように響き渡る。
烏は二つの浮き岩の間を電光のように翔け過ぎた。
そうして背後《うしろ》を振り返ったが、ジョン少年を呼ぶかのように、「コー」「コー」と啼いたものである。
ジョン少年は躊躇《ちゅうちょ》した。岩の間を乗り切ることが困難《むずかし》そうに思われたからだ。で彼は乗り切るのを止めて、一つの岩の周囲《まわり》を廻り
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