先へ出ようと考えた。しかしその間に烏の行方《ゆくえ》が見失われたらどうしよう。それこそ虻蜂捕らずである。
「勇気、勇気、勇気が大事だ! 冒険、冒険! 冒険に限る! 構うものか乗り切ってしまえ!」
 ジョン少年は決心した。で櫂《かい》に力をこめ、岩と岩とが衝突《ぶつか》り合い、やがて離れた一髪の間にスーッとばかりに突っ切った。とたんに左右から二つの岩が轟然と憤怒《いかり》の叫びを上げ、動物《いきもの》のように衝突《ぶつか》って来たが、わずかに舟尾《とも》に触れたばかりで舟も人も無事であった。
 烏はと見れば行く手の空を悠々と向こうへ翔けて行く。安心をしたジョン少年は、さらに櫂に力をこめ先へ先へと漕いで行く。
 こうして半時間ばかり経った時一つの小島が行く手に見えた。近附くままによく見ると、子供達が沢山遊んでいる。それは非常に美しい島で、虹を空から持って来たように種々《いろいろ》の花が咲いている。赤、白、黄、紫、藍、黄金色! 空色をした花もあれば桃色をした花もある。花間《はなま》では兎が飛んでいる。可愛い緑色の小さい森! そこでは栗鼠《りす》が啼いている。森から流れ出るリボンのような小川!
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