日本刀! たかが南米の蛮人ども、切って捨てるに訳はござらぬ」
 日本武士の真骨頂、大敵前後に現われたと見るや、紋太夫は勇気いよいよ加わり、大刀の束《つか》に手を掛けながら前後を屹《きっ》と見廻したものである。

        二十

 ここで物語は一変する。
 ここは地上の森である。
 日光がキラキラと射し込んでいる。小鳥の啼き声、蜜蜂の唸り、小枝に当たる微風の囁《ささや》き、何んとも云えず快い。地上には草が青々と生え紅紫繚乱《こうしりょうらん》たる草花が虹のように咲いている。ジョージ・ホーキン氏と紋太夫とが、敵に襲われ敵を襲い、苦心している地下国と比べて、何んと気持ちよく美しいことぞ。
 と、森の一所から、嗄《か》れて神々《こうごう》しい老人の声と、楽し気な無邪気な少年の声とで、神を讃美する土人歌を、さも熱心に合唱している清らかな歌声が聞こえて来た。
 歌声はだんだん近寄って来る。と、一人の少年が、活溌に木の間から現われたが、他ならぬジョージ・ホーキン氏の子、美少年のジョンであった。
「小父さんおいでよ! 小父さんおいでよ」
 流暢《りゅうちょう》な土人語でこう呼ぶと、
「ジョンよ
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