神秘の国の秘密を探り故郷への土産《みやげ》にするもいい。しかしどうしても一旦は地の上へ出る必要がある」
さすがホーキン氏は英国人だけに、その云う事が合理的である。
「これはお説ごもっともじゃ」紋太夫は頷いた。「よろしい、お言葉に従おう。すぐに地下を出ることにしよう」
「おおそれでは賛成か。案内役はこの俺だ」
云うより早く、ホーキン氏は地下道の奥の方へ走り出した。
おおよそ十丁も来た頃であった。その時忽ち前方から――すなわち二人の行く手から、松火《たいまつ》の火を先頭に立て、その勢百人にも余るであろうか、真っ黒に固まった一団の人数が、こなたを指して寄せて来た。
二人は驚いて立ち止まり、その一団の人数を見ると、意外も意外土人酋長オンコッコの率いる軍勢であった。
その時、ワーッと鬨《とき》の声が、今来た方角から聞こえて来た。振り返って見ればさっきの土人が新たに人数を駆り集め後を追っかけて来たのであった。
二人はここに計らずも腹背に敵を受けたのである。
「紋太夫殿、もういけない」ホーキン氏は嘆息した。
「いやいや、まだまだ、落胆するには及ばぬ。最後の場合には剣がござる。切れ味のよい
前へ
次へ
全113ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
国枝 史郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング