ジョンよ、足が速いのう、二歳《ふたつ》になった牝鹿のようだ」
 こう云い云い出て来たのは、酋長オンコッコを裏切ってまでジョンの危難を救ったところの、土人祭司バタチカンであった。
「あんまりピョンピョン刎《は》ね廻って、森の外へ出たが最後恐ろしい奴らに眼付《めっ》かるぞよ。さあさあここへ来るがいい。青草の上へ坐るがいい。面白い話を話してやろう」
 ジョン少年は穏《おとな》しく、祭司バタチカンの側へ行き、坐って話を聞こうとした。
 バタチカンとジョンとは親友《なかよし》である。ことに祭司バタチカンにとっては敵とも云うべきジョン少年が妙に可愛くてならないのであった。
 で、バタチカンはジョン少年を、最初の危難から救って以来、一心不乱に土人の言葉をジョン少年に教えたものである。土人の言葉は簡単であり、ことにジョンは怜悧であったので、わずかの間に覚えてしまって、二人はかなり困難《むずかし》いことまで土人の言葉で話すことが出来た。
「ジョンよ、ジョンよ、さあお聞きよ。これは大事な話だからね。そうしてこれは私達のうちでも、代々祭司を務める者だけが、わずかに知っている話だからね。……昔々遠い昔に、一羽
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