光に照らされ、朦朧《もうろう》と四方《あたり》は明るかったが、見れば自分のすぐ側に一人の男が立っている。
 土人でもなければ日本人でもない。長崎あたりでよく見掛ける、それは西洋の人間であったが、いかにも意外だと云うように紋太夫の顔を見守っている。これぞ他ならぬジョージ・ホーキン氏で、同氏が酋長オンコッコのため神殿の床下へ押し込められたことは、すでに説明した筈であるが、その後同氏はその床下に地下道のあることを発見し、死中に活路を得ようものと無二無三に突き進んだ結果、ほとんど一昼夜を費したところで、その地下道がこの地点で行き詰まったことを発見した。そこでふと天井を眺めて見た。と、平石《ひらいし》が並べてある。長い年月を経たものと見えて石と石とのその間にわずかながらも隙間《すきま》があって、そこから光が洩れていたのでさては地上へ出られようも知れずと、饑えと、乾《かわ》きと疲労とで、弱っているにも拘《かかわ》らず夢中で土を掘ったのであった。果然平石が落下して、穴の開いたのはよいとして、それと一緒にいとも凛々《りり》しい立派な人間が落ちて来ようとは思い設けないことであった。
 その落ちて来た人間
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