ては圧殺《おしころ》すつもりだな」
 石の天井はきわめて静かに下へ下へと下りて来る。間もなく天井は下りきるであろう。彼は圧殺《あっさつ》されるであろう。どこからも遁《の》がれる道はない。手を空《むな》しゅうして殺されなければならない。

        十七

 陰気な、鈍い、気味の悪い、キ――という軋り音《ね》を立てながら、一刻一刻、徐々として、釣天井が下がって来る。重い重い釣天井だ。それに圧《お》されたら命はない。平目《ひらめ》のように潰されなければならない。
 豪勇小豆島紋太夫もどうすることも出来なかった。「俺の命もここで終えるか」――こう思うと残念ではあったが、遁がれ出ることも出来そうもない。床は部厚の石畳であり四方の壁も石である。たった一つの戸口の扉には外から閂《かんぬき》がおろされてある。……キー、キー、キー、キー、天井は央《なかば》まで下りて来た。
 紋太夫は切歯したものの、坐っていることが出来ないので、ぴったり石畳へ横臥した。間もなく天井は部屋の高さの三分の二まで下がって来た。しかも尚も下がり止《や》まない。やがて紋太夫は背の辺へ天井の重さを感じるようになった。とうとう
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