どもっての外じゃ。君は内鮮一体内鮮一体と気違いのように叫び廻るけれど、朝鮮人は誰一人君を相手にしないそうじゃないか。もう少し反省するんだ。まともな人間に帰れと云うのじゃ。分ったか、わしが君を応援することにつけ込んで、人の好意を利用するなんて絶対に許されん。莫迦奴! そんなに恩知らずだとはわしは始めて分った!」それから自分の語調に感動しついには興奮してしまった。「全く恩知らずの悪い奴め! まだ君の悪いことが分らんのか。内鮮一体ちゅうのは君のような人間の魂まで引上げて内地人同様にしてやることなんだぞ」
「それはそうです、だから僕は人に気違いとまで云われる程の熱情でそれを主張して来たんです。そうですとも、実際男分の日本が女分の朝鮮に手を伸して仲よく結婚しようと云うのにその手に唾をひっかける理由はないですからね。一つの体になることによって始めて朝鮮民族も救われるんです。僕は感激しているあまり朝鮮人に誤解さえ受けているのです。朝鮮人ちゅうのは一体に猜疑深い劣等民族ですから」
「それは待った」と大村は手を上げて思い深げに差し止めた。「朝鮮人の君達はあまりに自虐性にかかっている。わしの周囲にいる朝鮮
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