ない妖怪であるが、これらも一種の奇形感、病気感、を持っている。きみの悪い味である。
外に、撞木《しゅもく》娘といって、美くしい町娘の風をしていて、顔が丁度、撞木の形、即ち丁字形であって、丁の横の棒の両端に目がついていて中央に赤い口を持ち鼻はない。撞木|鮫《ざめ》という魚に似ているがやはり色は真白できみが悪い、これらも同前の感じである。
ぞべらも、その撞木娘もともに多く美装した娘であるが、これがまたへんに凄い不思議な謎《なぞ》の味を持っていると思う。
狐にばかされるという事の合理的の解釈
附 狐附きの考
これは誰れでも考えついている事かもしれないが私が一通りすじ道を立て、自分でも合理な説明と思えるのでかく事にした。
狐にばかされるという事実は実際にある事であろう。しかし、それはそういう結果があるのでその元因は何も狐がそれを本当に行うのではない。
一口にいえばこれは自己催眠の民族的一殊異現象という事が出来る。
即ち、一時的に狂態を演ずるところの痴呆《ちほう》状態になる一種の病的現象というものは、狐が化かすという口碑伝説の伝《つたわ》らない以前の日本にも
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