ばけものばなし
岸田劉生
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)孔子《こうし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)水野|越前守《えちぜんのかみ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)一と先ずは[#「一と先ずは」に傍点]
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これは怪談をするのではない、ばけものについて、いろいろと考えた事や感じたこと等、思い出すままに描いてみようと思うのである。画工である私は、ばけものというものの興味を、むしろ形の方から感じている。そんな訳で、私の百鬼夜行絵巻も文の間に添えておこうと思う。
君子は乱神怪力を語らず
孔子《こうし》様は、君子は乱神怪力を語らずといわれた。さすがに深い深い実感から生れた話だと思う。
乱神怪力を語るという事は、結局「嘘」という事に無神経だという事になる。
妖怪変化《ようかいへんげ》というものは、「無《な》」いといってしまっては曲《きょく》のないものにはちがいない。人間というものは、何事でも面白い方が好きなもので、ばけもの等も、本当は、無いのだという事になる事はちと興
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