これは大いに研究の価値があるということをいよいよ確かめたので、一九一二年の春すなわち今から四年前に、人夫を督して大捜索を始めたのである。ところが骨は方々に散ってしまった様子で容易に何ものも発見できなんだ。しかしそれに屈せずなお根《こん》よく捜していたところが、始めて顎《あご》の右半分が見つかり、さらにそこから三尺ばかり隔てた所で後頭骨が見つかったのである。なおその翌年すなわち今から三年前には、フランスの人類学者のテイラー氏が同じ場所を重ねて発掘して、さらに犬歯《いぬば》を一本と鼻の骨とを発見したのである。そんな関係からこの人間の頭の骨もほぼ整ったのであるが、学者の説によると、これは今から十万年ないし三十万年前の人間の骨だということである。
さてこの人間は今日学者が名づけてエアントロプス(曙《あけぼの》の人)といっている者である。そうしてこの人間がはたして今日の人間の直系の祖先であるか、または同じ祖先から出た枝で、すでに子孫の絶滅したものであるかという点になると、学者の説がまだ一致しておらぬそうだが、ともかく前回に述べた『猿の人』に比ぶれば、年代も新しくかつ今日の人間に近い系統のもので
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