Marvels of Insect Life, 1915. pp. 28−−34.
[#ここで字下げ終わり]
 さて葉切り蟻が菌《きのこ》を栽培せる様子はだいたい上述のごとくであるが、これはよく考えてみると、実に驚くべきことである。何ゆえというに、この蟻のすんでいる地方には、天然の菌がたくさんにできるのだけれども、ただそれには一定の季節がありまた気候や湿気の具合でその供給に変動がある。そこで年じゅう一定の菌を食べようと思えば、暗い場所へ菌の床《とこ》を作って温度を加減して行かねばならぬので、現に今日われわれ人間が菌の人工培養をするのは、つまりそういう方法によってやっているのであるが、この葉切り蟻は人間よりも先にそういうことを発明しているのである。ことに彼らが切り取って来る木の葉そのものは、全く彼らの食料とはしないものである。そういうようなさしあたって役に立たぬ物を一たん取って来て、しかる後その目的とするところの食物を作り出すなどということは、経済学者のいわゆる迂回的《うかいてき》生産に属するもので、いかにも彼らの知識は高度の進歩を遂げているものと見なければならぬのである。[#地から1
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