》ができているのである。蟻の幼虫はこのへやに連れられて来ていて他の蟻が菌を切ってはそれを食べさしている。この幼虫を養育することは小さい方の職蟻《しょくぎ》の仕事であるが、大きい方の職蟻は菌の床《とこ》を造ることをセッセとやっている。すなわち青い木の葉がへやの内に運ばれて来ると、それをすぐ小さな片に切り、一々それをなめてはそうじしながら、小さな団子に丸め、それをだんだん積んで行くのである。そうしてそれが室内の温気と湿気とで蒸されて、だんだん菌がそれにはえるようになるのである。もしそれが新しい床であったならば、古い床から菌の種子《たね》を持って来て、それを新しい床に植え付けるのだということである。そうしてもし人間がその床を切り取って巣の外に持ち出し、適当な場所に置いておくならば、直径六インチぐらいの大きな菌ができるが、蟻はそんなに大きな菌は好まぬので、小さなつぼみができるとすぐにそれを切り取って大きくはせぬということである。(一九一五年出版、ステップ氏『昆虫生活《こんちゅうせいかつ》の驚異』二八ページ以下による*)。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
* Edward Step,
前へ
次へ
全233ページ中83ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
河上 肇 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング