あらざれども、昆虫《こんちゅう》の生活状態を研究することに特別の趣味を有しいたる人にて、この人が初めてこの葉切り蟻が菌《きのこ》を培養しつつあることを発見したのである。もっとも氏が始めてかかる事実を発表したる時には、何人もこれを信ずる者なく、専門学者はすべてその虚構を嘲笑《ちょうしょう》したのであるが、その後専門学者がだんだん研究に着手してみると、ただにベルト氏の言った事が間違いにあらざるのみならず、氏の報告以外さらに種々の事実が次第に確かめらるることとなったのである。
ベルト氏は葉切り蟻の巣をばただに土地の表面より観察するばかりでなく、さらに土を掘って巣の内部をのぞいてみたのである。ところが地下にはたくさんのへやがあってその中のある者は丸くて、直径五インチぐらいの広さになっておる。そうしてそのへやのほとんど四分の三ぐらいは、ポツポツのあるとび色の海綿ようの物で満たされておるが、そのほかには蟻が盛んに持ってはいる青い木の葉は全く見つからぬ。これはどういうわけかというと、木の葉はいつのまにか変わってこんな海綿ようのものになっているので、そうしてその海綿ようのものにはたくさんの菌《きのこ
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