せるもの全国において四十一個所、次の年度には八十一個所、その次の年度には九十六個所、さらにその次の一九一〇年より同一一年にわたる年度には百二十三個所になっている。もって英国におけるこの種の経営の大勢を知るに足らん。(以上述べたる英国の事情はもちろん、その他欧米諸国における小学児童食事公給問題の由来及び現状については、ブライアント氏『校営食事*』及び金井《かない》博士在職二十五年記念論文集『最近社会政策』中に収めある拙稿「小学児童食事公給問題」を参照されたし)。
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* Bryant, School Feeding, 1913.(前出)
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       四の一

 さて以上述べたるところは、貧乏が児童の発育の上に及ぼす弊害の一斑である。しかるに、元来貧乏が人の肉体及び精神の上に大害を及ぼすという事は、必ずしも小学児童に限られているわけではない。それゆえ、同じ英国について言っても、貧乏を退治するがためには、前に述べたる食事公給条例の趣旨に類したるようの事をば、近ごろは各種の方面にわたり盛んに
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