取る。無料にて給与を受くる者も、実費の一部または全部を負担する者も、すべてその間に取り扱いの差異を設けず。従うて児童自身は互いに全くそれらの消息を知らぬのである。食事の調理には、営養学上専門の知識を有する者その監督に当たり、助手五人その下にあってもっぱらこれに従事す。炊事場には最も進歩したる新式の設備を備え、一日よく一万人分の食事を供給しうるの装置を設く。その創設費約四万円、経常費は一九〇八年より同九年にわたる一会計年度において、食料を除き、役員の手当、設備の維持、修繕費等を合算して八万円弱である。しかして同年度において供給された食事の数は約百万にして、そのうち四分の一は朝飯である。一個年を通じて食事を取った児童数の最も多い日は五千五百人で一個年間の平均は一日二千七百人になっている。そのうち食費の全額または一部を納めたるものは、一日平均二百四十人である。
以上がブラッドフォード市における食事公給事業の一斑であるが、実はこれは一例に過ぎぬので、かくのごとき事業は今日英国の諸地方において実行されつつある。現に教育院の年報によれば、食事公給条例の通過した翌年度の終わりには、かかる事業を公営
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