椏sを出る時に、道すがら三人の者がそれぞれ詩や歌を詠《よ》むと、道無斎がそれを聞いて、滔々《とうとう》として次のごとき説法を始めるのである。
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「おのおののやまと歌、から歌、さらに道理にかない候《そうら》わず、ただおもしろくもありがたくも聞こえはべるは、黄金にてぞはべる。ひえの紅葉《もみじ》も長柄《ながら》の錦《にしき》も横川《よかわ》の月を見やりたまいしも、金がなくてはさらにおかしくもおもしろくもあるまじ、ただ世の中は黄金にこそ天地もそなわり、万物みなみなこれがなすところにして、人間最第一の急務にてはべるなり。さればにや仏も種々なる口をききたまいし中にも、ややともしては金銀《こんごん》瑠璃《るり》とのべられて、七宝の第一に説かれしなり。十万の浄土も荘厳《しょうごん》なにぞと尋ぬれば、みなみな黄金ずくめなり、孔子も老子も道をかたりひろめし中には、今日の禄《ろく》を第一に述べられしなり。」……
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道無斎は勢いに乗ってさらに次のごとき物語をする。
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「このちかきころにさる大福長者とおぼしき人を打ちつれて、黒谷《くろだに》も
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