終わり]
ねもごろに掃除を終へて茶をすすり香を聞きをる朝のひととき
初夏の四坪の庭にふりそゝぐ雨をながめて茶をすすりをり[#地から1字上げ]五月十八日

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頃日頻樂郊外漫歩
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信歩遊村野  歩にまかせて村野に遊び、
倦來樹下眠  倦み来りて樹下に眠る。
夢覺無人見  夢さめて人の見るなく、
風清百畝田  風は清し百畝の田。
[#地から1字上げ]六月八日

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夏亦涼
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わがこゝろ足らひてあれば四坪にも足らぬ小庭《さには》の蔭もすずしき[#地から1字上げ]六月二十七日

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三間屋
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余出獄之後、賃得者纔三間之矮屋也、竊審容膝之易安、陶然賦一絶
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容膝三間屋  膝を容る三間の屋、
曲肱一卷書  肱を曲ぐ一巻の書。
小儒養老處  小儒老を養ふ処、
明月獨侵廬  明月ひとり廬を侵す。
[#地から1字上げ]六月二十九日

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室無長物
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室無長物出無車  室に長物なく出づるに車なし。
擲盡經世萬卷
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