書 擲ち尽す経世万巻の書。
唯有九天明月度 たゞ九天明月の度るあり、
清光含露入吾廬 清光露を含んで吾が廬に入る。
[#地から1字上げ]七月十一日
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堀江君見贈花十枝、賦此答謝、結句者
當時之實景也
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對惠施花欲得詩 恵施の花に対し詩を得んと欲し、
未成旬日曠經時 未だ成らず旬日むなしく時を経。
皺白膩紅凋謝後 皺白膩紅凋謝の後、
壺中開蕾一枝梔 壺中蕾を開く一枝の梔。
[#地から1字上げ]七月二十三日
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描竹林孤月之圖、題詩、贈人
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貧居無所有 貧居有るところなし、
聊贈畫中詩 聊か贈る画中の詩。
竹林孤月度 竹林孤月わたる、
來聽草蟲悲 来り聴け草虫の悲むを。
[#地から1字上げ]八月十日
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寄獄中之義弟 二首
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一千里外十年囚 一千里外十年の囚、
高樹蝉鳴歳復秋 高樹蝉鳴いて歳また秋なり。
處々江山空有待 処々の江山むなしく待つあり、
斷雲斜月爲君愁 断雲斜月君がために愁ふ。
荒苑蝉鳴又會秋 荒苑蝉鳴いて
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