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小林輝次君に送る
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久振りの来状頗る元気なかりければ
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たたかひに得つる病の癒えがてにさびしみて君一人居るかも
さびしみて君ひとり居ると聞くなべに我もさびしむ百里へだてて
ときじくはまづしきゆふげともにして高やかに笑ふみ声聞かましを
君まさば時めく人をよそに見て碁など囲みてゑみてあらましを
えにしあらば尋ねても来ませ老妻と京のほとりにわびて住むやど[#地から1字上げ]十二月二十三日

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原鼎氏に送る
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数十日ぶりに長文の手紙来たる、今年も個展の成績頗るよかりし由
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熱病につかれしがごと絵につかれ三月ふみせずうちすぎし君
うれしくも個展の成績よかりしと親に云ふごと我に云ふ君
今もなほ天下《てんか》好事の客ありてうれしみて君の絵求むとや
仔兎の一つは眠り上ぼる月見て一つ立つ絵の見まく欲《ほ》り
克明に一つ一つの鱗かき雲母おとせし鰈の絵はも
春されば尋ねても来ませ東山いさよふ水に花のちる頃
一たびは尋ねて来ませ洛東に老いゆく我の尚ほ生けるうち
来ます
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