恐ろしからむ食《く》ひ物のけふこの頃のこのともしさは
朝夕に甘きものほりすめしうどと同じきさまに人みな〔な〕れり
三大節に紅白のあんもちたまはりし牢屋《らうや》ぞむしろ今はよろしも
をすもののある国ならばいづことも移りゆかまく欲《ほ》りす日もあり[#地から1字上げ]十二月六日
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雑詠
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木箱よりひとつひとつとりいだし塵ふきて並《な》ぶ赤き柿の実(原氏より信州の柿一箱送り来たる)[#地から1字上げ]十一月十日
頭かきふみよみをれば紙のへに落ちくる髪の半ばは白き
さむき日をひねもすくりやにおりたちてわれに飯《いひ》はますわれの老《お》い妻《づま》[#地から1字上げ]十一月十八日
四坪にも足らはぬ宿のさ庭にも小鳥来りて何かついばむ
[#地から1字上げ]十一月二十七日
天井をときじくさわぐ鼠ありて何食らひてか生くと思はしむ[#地から1字上げ]十一月二十八日
老妻《おいづま》の買物に出でし小半日しぐれの雲よしばしこごるな
六十路《むそぢ》超え声色の慾枯れたれば食《を》し物のこと朝夕に思《も》ふ
自由日記老い果てし身の暇《ひま》多くことし初めて余白な
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