の茶みせに憩ひ褒めつつ食《た》うぶ
バス待ちてうづくまりゐる小半時《こはんどき》大原なればこころいらだたず
秋深みひにけにもみづ山山のはえのきわみに一日《ひとひ》くらしつ
山城の国のまほらの畳《たた》なはる青山垣《あをやまがき》のこのみやこはも(家に帰りて京をたたふ)
今朝見れば君に見せなと拾ひ来しきそのもみぢ葉見るかげもなし(あくる朝よめる)[#地から1字上げ]十一月五日

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落葉の薄命の美をたたふる歌 六首
 昨日拾ひ来し落葉、けふは見るかげもなし
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けさ見れば君に見せなと拾ひ来しきそのもみぢ葉見るかげもなし
もみぢ葉は落ちしたまゆら掌《て》にとりて濃染《こぞめ》のさやけめづべかりけり(以上二首前出)
もみぢ葉のおのづと落ちしたまゆらは栄《さかえ》のきはみ枯衰《ほろび》のはじめ
もみぢ葉の栄のさかりはおのづから落つるたまゆらのいのち短く
落ちしける落葉《おちば》にはなほいのちありてたまゆらのまに魂《たま》よばひあへず
つくづくと見れば花にもいやまさる落葉《らくえふ》の美《び》を誰か知るらむ(左千夫歌集に落葉数首あり、いづれも落葉をにくめ
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