り、詞華和謌集に見ゆる大弐資通の「梢にてあかざりしかばもみぢ葉の散りしく庭を払はでぞ見る」も、未だ落葉の美を知りたる者にあらじと覚ゆ)[#地から1字上げ]十一月六日

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絵葉書に書きつけて友人に送れる
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写真にもしみてありけめ大原のたたふる秋のものしづけさは
ゆかしともおもひてみませ千年《せんねん》の歴史しづまる京の秋ぞも[#地から1字上げ]十一月八日

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十一月九日偶成
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うつくしき山川《やまかは》をいめむよるもあり世をわすれゆくしるしなりけめ
見も知らぬ人にもぢぢと呼ばるまで我が身のかげはふけにけらしも
列に立ちやうやくハムを買ひえてき手柄顔《てがらがほ》して一日くらしつ[#地から1字上げ]十一月九日

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苔寺に遊ぶ
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秋晴れを吾子《あこ》とつれたち野みちゆくけふのひとひのゆたけきいのち
遠山はきだにさぎりてほのじろく近き田のもに牛すける見ゆ
木《こ》のまもる秋のうすびもあはくして苔のあをみにほのあをみつつ
庭の面《も》は木の根岩ぐまくまなくも苔
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