下げ]
出獄後初めて銭湯に浴す、昭和七年夏以来六年目のことなり
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久にわれ浴みずありしと歎きつゝ雪ふるゆふべ銭湯にゆく[#地から1字上げ]二月二日
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われは歌人の歌を好まず
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声あげて歌はむとすれど歌ふべき歌一つなき今の日本
[#地から1字上げ]二月五日
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不賣文
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守節遊方外 節を守りて方外に遊び、
甘貧不賣文 貧に甘んじて文を売らず。
仰天無所愧 天を仰いで愧づる所なく、
白眼對青天[#「天」に「〔ママ〕」の注記] 白眼青雲に対す。
[#地から1字上げ]二月五日
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天荒
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人老潛窮巷 人は老いて窮巷に潜み、
天荒未放紅 天は荒れて未だ紅を放たず。
狗吠門前路 狗は吠ゆ門前の路、
雲低萬里空 雲はたる万里の空。
[#地から1字上げ]三月一日
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女中急に暇を乞うて帰る、すぐに代りがありさうにもなく、貧居聊か不景気なり
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さかな屋は間近にあれど市場まで鰯買ひに
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