ち逝き、
待終我卻弔遺芳  終りを待てる我、却て遺芳を弔ふ。
雨暗暮江柳[#「柳」に「〔楊〕」の注記]    雨は暗し暮江の柳[#「柳」に「〔楊〕」の注記]。
[#地から1字上げ]六月六日、六月十日、六月二十六日、定稿

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閑中好
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閑中好    閑中好し
青帙散空牀  青帙空牀に散ず、
此趣人無會  此の趣、人の会する無し、
白雲環草堂  白雲草堂を環《めぐ》る。
[#地から1字上げ]六月十日

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夏日戯に作る
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何を食べてもこんなにおいしいものが
またとあらうかと思うて食べる。
大概は帙をひもといて古人の詩を読んで暮らす。
倦み来りて茗をすすり疲れ来らば枕に横たはる。
家はせまけれど風南北に通じ、
銭を用ひずして涼風至る。
こんなよい気持が人の身に
またとあらうかと疑はれる。
生きてゐる甲斐ありとつくづく思ふ。
しかしまたいつ死んでもよいと思ふ。
生きてゐてもよく、死んで行つてもよい、
これ以上の境涯はまたと世になからうではないか。
[#地から1字上げ]六月十三日

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