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原作 世上風塵事何嘗至此間欲窮飛鳥処
洗竹出前山
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世の塵もこのほとりへはよも来まじ居向ふ山に飛ぶ鳥の跡を見ばやと竹をすかしぬ[#地から1字上げ]十一月二十六日
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閑居 二首
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陽を負ひて障子張りつつ歌思ふ閑居の昼のこののどけさよ
晴れし日を南《みんなみ》の縁に孫だきて陽を浴びをれば飛行機通る
[#地から1字上げ]十二月十一日
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獄中の思出
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茶も飲めず話も出来ず暮れてゆく牢屋の冬はさびしかりしも[#地から1字上げ]十二月十一日
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郷里より柚味噌来たる
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手製《てづく》りて母のたまひしものなればこの柚味噌は拝《をが》みてたうぶ
手製りて送りたまひし柚味噌の焼くる匂ひに今朝もほゝゑむ[#地から1字上げ]十二月二十一日
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荻窪天沼の寓居は北裏に広々としたる田畑あり、出獄後の身にとりては、郊外の散歩殊に楽しかりき
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一杯に陽を浴びし裏の畑道こゝろのまゝに行きては戻る
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