首
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獄をいでて街を歩きつ夏の夜の行きかふ人を美しと見し
獄をいでて侘居しをれば訪ねくる人のこゝろはさまざまなりき
ありがたや静かなるゆふべ簡素なる食卓の前に妻子居ならぶ[#地から1字上げ]七月二十日
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谷川温泉雑詠 録七首
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疲れたる身を深渓《ふかだに》に横たへて山隈に残る夏の雪見る
河鹿鳴くと人は云へれど耳老いてせせらぐ水にわれは聞えず
世の塵もこの渓まではよも来まじ窓を披きて峰の月見る
奥山にとめ来し友と語らひて若さ羨む後のさびしさ(宮川実君の来訪を受く)
今は早や為すこともなき身なれども生きながらへて世をば見果てむ
山深きいでゆにひたりいたづらに為すよしもなき身をばいたはる
何事もなさで過ぎねと人は云へ為すこともなくて生きむ術なき[#地から1字上げ]七月末より八月初まで
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大塚金之助氏の不幸を悼みて
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秋のゆふべたらちねの母のみひつぎ送りゆく君を思《も》へばいたまし[#地から1字上げ]十月二十二日
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玉山洗竹詩和訳
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