もしあなたが誤解の中にいるんなら聞かせてください。僕はこんな重大な事を一方口《いっぽうぐち》で判断したくはありませんから」
 と話を結んで古藤は悲しいような表情をして葉子を見つめた。小癪《こしゃく》な事をいうもんだと葉子は心の中で思ったけれども、指先でもてあそびながら少し振り仰いだ顔はそのままに、あわれむような、からかうような色をかすかに浮かべて、
 「えゝ、それはお聞きくださればどんなにでもお話はしましょうとも。けれども天からわたしを信じてくださらないんならどれほど口をすっぱくしてお話をしたってむだね」
 「お話を伺ってから信じられるものなら信じようとしているのです僕は」
 「それはあなた方《がた》のなさる学問ならそれでようござんしょうよ。けれども人情ずくの事はそんなものじゃありませんわ。木村に対してやましいことはいたしませんといったってあなたがわたしを信じていてくださらなければ、それまでのものですし、倉地さんとはお友だちというだけですと誓った所が、あなたが疑っていらっしゃればなんの役にも立ちはしませんからね。……そうしたもんじゃなくって?」
 「それじゃ五十川さんの言葉だけで僕にあ
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