のに、たまに悪いと思って貞《さあ》ちゃんと叔母《おば》さんの所に行ったりなんぞすると、それはほんとうにひどい……ひどい事をおっしゃるので、どっち[#「どっち」に傍点]に行ってもくやしゅうございましたわ。古藤さんだってこのごろはお手紙さえくださらないし……田島先生だけはわたしたち二人《ふたり》をかわいそうがってくださいましたけれども……」
 葉子の思いは胸の中で煮え返るようだった。
 「もういい堪忍《かんにん》してくださいよ。ねえさんがやはり至らなかったんだから。おとうさんがいらっしゃればお互いにこんないやな目にはあわないんだろうけれども(こういう場合葉子はおくび[#「おくび」に傍点]にも母の名は出さなかった)親のないわたしたちは肩身が狭いわね。まああなた方《がた》はそんなに泣いちゃだめ。愛さんなんですねあなたから先に立って。ねえさんが帰った以上はねえさんになんでも任して安心して勉強してくださいよ。そして世間の人を見返しておやり」
 葉子は自分の心持ちを憤ろしくいい張っているのに気がついた。いつのまにか自分までが激しく興奮していた。
 火鉢《ひばち》の火はいつか灰になって、夜寒《よさむ》
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