れ、ね、よござんすか。わたしはお嫁なんぞに行かないでもいい、あなた方《がた》とこうしているほどうれしい事はないと思いますよ。木村さんのほうにお金でもできて、わたしの病気がなおりさえすれば結婚するようになるかもしれないけれども、それはいつの事ともわからないし、それまではわたしはこうしたままで、あなた方《がた》と一緒にどこかにお家を持って楽しく暮らしましょうね。いいだろう貞《さあ》ちゃん。もう寄宿なんぞにいなくってもようござんすよ」
「おねえさまわたし寄宿では夜になるとほんとうは泣いてばかりいたのよ。愛ねえさんはよくお寝になってもわたしは小さいから悲しかったんですもの」
そう貞世は白状するようにいった。さっきまではいかにも楽しそうにいっていたその可憐《かれん》な同じ口びるから、こんな哀れな告白を聞くと葉子は一入《ひとしお》しんみり[#「しんみり」に傍点]した心持ちになった。
「わたしだってもよ。貞《さあ》ちゃんは宵《よい》の口だけくすくす泣いてもあとはよく寝ていたわ。ねえ様、私は今まで貞《さあ》ちゃんにもいわないでいましたけれども……みんなが聞こえよがしにねえ様の事をかれこれいいます
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