どうもよくなくって上陸はとてもできなかったからしかたなしにまた同じ船で帰るようになったの。木村さんはどこまでもわたしをお嫁にしてくださるつもりだから、わたしもその気ではいるのだけれども、病気ではしかたがないでしょう。それに恥ずかしい事を打ち明けるようだけれども、木村さんにもわたしにも有り余るようなお金がないものだから、行きも帰りもその船の事務長という大切な役目の方《かた》にお世話にならなければならなかったのよ。その方《かた》が御親切にもわたしをここまで連れて帰ってくださったばかりで、もう一度あなた方《がた》にもあう事ができたんだから、わたしはその倉地という方《かた》――倉はお倉の倉で、地は地球の地と書くの。三吉というお名前は貞《さあ》ちゃんにもわかるでしょう――その倉地さんにはほんとうにお礼の申しようもないくらいなんですよ。愛さんなんかはその方《かた》の事で叔母《おば》さんなんぞからいろいろな事を聞かされて、ねえさんを疑っていやしないかと思うけれども、それにはまたそれでめんどうなわけのある事なのだから、夢にも人のいう事なんぞをそのまま受け取ってもらっちゃ困りますよ。ねえさんを信じておく
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