くらいは御存じじゃありませんか。そりゃ余人じゃなし、できるのならなんとかいたしますけれども、姉妹三人がどうかこうかして倉地に養われている今日《こんにち》のような境界《きょうがい》では、わたしに何ができましょう。正井さんにも似合わない的《まと》違いをおっしゃるのね。倉地なら御相談にもなるでしょうから面と向かってお話しくださいまし。中にはいるとわたしが困りますから」
葉子は取りつく島もないようにといや味な調子でずけ[#「ずけ」に傍点]ずけとこういった。正井はせせら笑うようにほほえんで金口の灰を静かに灰吹きに落とした。
「もう少しざっくばらん[#「ざっくばらん」に傍点]にいってくださいよきのうきょうのお交際《つきあい》じゃなし。倉地さんとまずくなったくらいは御承知じゃありませんか。……知っていらっしってそういう口のききかたは少しひど過ぎますぜ、(ここで仮面を取ったように正井はふてくされた態度になった。しかし言葉はどこまでも穏当だった。)きらわれたってわたしは何も倉地さんをどうしようのこうしようのと、そんな薄情な事はしないつもりです。倉地さんにけががあればわたしだって同罪以上ですからね。…
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