むっくり」に傍点]盛《も》れ上がった砂丘《さきゅう》のほうに続く砂道をのぼり始めた。葉子は倉地に手を引かれて息気《いき》をせいせいいわせながら、筋肉が強直《きょうちょく》するように疲れた足を運んだ。自分の健康の衰退が今さらにはっきり[#「はっきり」に傍点]思わせられるようなそれは疲れかただった。今にも破裂するように心臓が鼓動した。
「ちょっと待って弁慶蟹《べんけいがに》を踏みつけそうで歩けやしませんわ」
そう葉子は申しわけらしくいって幾度か足をとめた。実際そのへんには紅《あか》い甲良《こうら》を背負った小さな蟹《かに》がいかめし[#「いかめし」に傍点]い鋏《はさみ》を上げて、ざわざわと音を立てるほどおびただしく横行していた。それがいかにも晩春の夕暮れらしかった。
砂丘《さきゅう》をのぼりきると材木座《ざいもくざ》のほうに続く道路に出た。葉子はどうも不思議な心持ちで、浜から見えていた乱橋《みだればし》のほうに行く気になれなかった。しかし倉地がどんどんそっち[#「そっち」に傍点]に向いて歩き出すので、少しすねたようにその手に取りすがりながらもつれ[#「もつれ」に傍点]合って人気《ひと
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