っかり[#「しっかり」に傍点]と取った。そして小さな声で、
 「よくいらしってね。その間着《あいぎ》のよくお似合いになる事。春らしいいい色地ですわ。今倉地と賭《か》けをしていた所。早くお上がり遊ばせ」
 葉子は倉地にしていたように岡のやさ肩に手を回してならびながら座敷にはいって来た。
 「やはりあなたの勝ちよ。あなたはあて[#「あて」に傍点]事がお上手《じょうず》だから岡さんを譲って上げたらうまくあたったわ。今|御褒美《ごほうび》を上げるからそこで見ていらっしゃいよ」
 そう倉地にいうかと思うと、いきなり岡を抱きすくめてその頬《ほお》に強い接吻《せっぷん》を与えた。岡は少女のように恥じらってしいて葉子から離れようともがいた。倉地は例の渋いように口もとをねじってほほえみながら、
 「ばか!……このごろこの女は少しどうかしとりますよ。岡さん、あなた一つ背中でもどやしてやってください。……まだ勉強か」
 といいながら葉子に天井を指さして見せた。葉子は岡に背中を向けて「さあどやしてちょうだい」といいながら、今度は天井を向いて、
 「愛さん、貞《さあ》ちゃん、岡さんがいらしってよ。お勉強が済んだ
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