ちゃん」に傍点]と筋目が立っていた。葉子には愛子の沈んだような態度がすっかり[#「すっかり」に傍点]読めた。葉子の憤怒は見る見るその血相を変えさせた。田川夫人という人はどこまで自分に対して執念を寄せようとするのだろう。それにしても夫人の友だちには五十川《いそがわ》という人もあるはずだ。もし五十川のおばさんがほんとうに自分の改悛《かいしゅん》を望んでいてくれるなら、その記事の中止なり訂正なりを、夫《おっと》田川の手を経てさせる事はできるはずなのだ。田島さんもなんとかしてくれようがありそうなものだ。そんな事を妹たちにいうくらいならなぜ自分に一言《ひとこと》忠告でもしてはくれないのだ(ここで葉子は帰朝以来妹たちを預かってもらった礼をしに行っていなかった自分を顧みた。しかし事情がそれを許さないのだろうぐらいは察してくれてもよさそうなものだと思った)それほど自分はもう世間から見くびられ除《の》け者にされているのだ。葉子は何かたたきつけるものでもあれば、そして世間というものが何か形を備えたものであれば、力の限り得物《えもの》をたたきつけてやりたかった。葉子は小刻みに震えながら、言葉だけはしとやかに
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