島か、障壁で高く囲まれた美しい牢獄《ろうごく》に閉じこもっていたような二人に取っては予想以上の気散《きさん》じだった。倉地も葉子もありふれた文句にまで思い存分の批評を加えた。こういう時の葉子はそのほとばしるような暖かい才気のために世にすぐれておもしろ味の多い女になった。口をついて出る言葉言葉がどれもこれも絢爛《けんらん》な色彩に包まれていた。二日目の所には岡《おか》から来た手紙が現われ出た。船の中での礼を述べて、とうとう葉子と同じ船で帰って来てしまったために、家元《いえもと》では相変わらずの薄志弱行と人|毎《ごと》に思われるのが彼を深く責める事や、葉子に手紙を出したいと思ってあらゆる手がかりを尋ねたけれども、どうしてもわからないので会社で聞き合わせて事務長の住所を知り得たからこの手紙を出すという事や、自分はただただ葉子を姉と思って尊敬もし慕いもしているのだから、せめてその心を通わすだけの自由が与えてもらいたいという事だのが、思い入った調子で、下手《へた》な字体で書いてあった。葉子は忘却《ぼうきゃく》の廃址《はいし》の中から、生々《なまなま》とした少年の大理石像を掘りあてた人のようにおも
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