と尋ねた。葉子はまたあんなよけいな事をいうと思いながらいらいらした。五十川女史は日ごろの円滑な人ずれのした調子に似ず、何かひどく激昂《げきこう》した様子で、
「わたしは亡《な》くなった親佐《おやさ》さんのお考えはこうもあろうかと思った所を申したまでですから、それを葉子さんが悪いとおっしゃるなら、その上とやかく言いともないのですが、親佐さんは堅い昔風な信仰を持った方《かた》ですから、田島さんの塾は前からきらいでね……よろしゅうございましょう、そうなされば。わたしはとにかく赤坂学院が一番だとどこまでも思っとるだけです」
といいながら、見下げるように葉子の胸のあたりをまじまじとながめた。葉子は貞世を抱いたまましゃん[#「しゃん」に傍点]と胸をそらして目の前の壁のほうに顔を向けていた、たとえばばら[#「ばら」に傍点]ばらと投げられるつぶて[#「つぶて」に傍点]を避けようともせずに突っ立つ人のように。
古藤は何か自分|一人《ひとり》で合点したと思うと、堅く腕組みをしてこれも自分の前の目八|分《ぶ》の所をじっ[#「じっ」に傍点]と見つめた。
一座の気分はほとほと動きが取れなくなった。そ
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