何かとお世話様になってありがとうこざいましたけれども、この家もたたんでしまう事になれば、妹たちも今申したとおり塾《じゅく》に入れてしまいますし、この後はこれといって大して御厄介《ごやっかい》はかけないつもりでございます。赤の他人の古藤さんにこんな事を願ってはほんとうにすみませんけれども、木村の親友でいらっしゃるのですから、近い他人ですわね。古藤さん、あなた貧乏|籤《くじ》を背負い込んだと思《おぼ》し召《め》して、どうか二人《ふたり》を見てやってくださいましな。いいでしょう。こう親類の前ではっきり[#「はっきり」に傍点]申しておきますから、ちっとも御遠慮なさらずに、いいとお思いになったようになさってくださいまし。あちらへ着いたらわたしまたきっとどうともいたしますから。きっとそんなに長い間御迷惑はかけませんから。いかが、引き受けてくださいまして?」
古藤は少し躊躇《ちゅうちょ》するふうで五十川《いそがわ》女史を見やりながら、
「あなたはさっきから赤坂学院のほうがいいとおっしゃるように伺っていますが、葉子さんのいわれるとおりにしてさしつかえないのですか。念のために伺っておきたいのですが」
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