かたがない。今になってそんな事をいったってしかたがないじゃないの」
とたしなめ諭《さと》すようにいうと、
「しかたがあるわ」
と貞世は大きな目で姉を見上げながら、
「お嫁に行かなければよろしいじゃないの」
といって、くるり[#「くるり」に傍点]と首を回して一同を見渡した。貞世のかわいい目は「そうでしょう」と訴えているように見えた。それを見ると一同はただなんという事もなく思いやりのない笑いかたをした。叔父《おじ》はことに大きなとんきょ[#「とんきょ」に傍点]な声で高々と笑った。先刻から黙ったままでうつむいてさびしくすわっていた愛子は、沈んだ恨めしそうな目でじっ[#「じっ」に傍点]と叔父をにらめたと思うと、たちまちわくように涙をほろほろと流して、それを両袖でぬぐいもやらず立ち上がってその部屋《へや》をかけ出した。階子段《はしごだん》の所でちょうど下から上がって来た叔母と行きあったけはいがして、二人《ふたり》が何かいい争うらしい声が聞こえて来た。
一座はまた白《しら》け渡った。
「叔父さんにも申し上げておきます」
と沈黙を破った葉子の声が妙に殺気を帯びて響いた。
「これまで
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