《じゅく》に行って、田島さんにお会い申してよくお頼みして来ましたから、少し片付いたらはばかりさまですがあなた御自身で二人《ふたり》を連れていらしってください。愛さんも貞ちゃんもわかりましたろう。田島さんの塾にはいるとね、ねえさんと一緒にいた時のようなわけには行きませんよ……」
 「ねえさんてば……自分でばかり物をおっしゃって」
 といきなり[#「いきなり」に傍点]恨めしそうに、貞世は姉の膝《ひざ》をゆすりながらその言葉をさえぎった。
 「さっきからなんど書いたかわからないのに平気でほんとにひどいわ」
 一座の人々から妙な子だというふうにながめられているのにも頓着《とんじゃく》なく、貞世は姉のほうに向いて膝の上にしなだれかかりながら、姉の左手を長い袖《そで》の下に入れて、その手のひらに食指で仮名を一字ずつ書いて手のひらで拭《ふ》き消すようにした。葉子は黙って、書いては消し書いては消しする字をたどって見ると、
 「ネーサマハイイコダカラ『アメリカ』ニイツテハイケマセンヨヨヨヨ」
 と読まれた。葉子の胸はわれ知らず熱くなったが、しいて笑いにまぎらしながら、
 「まあ聞きわけのない子だこと、し
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