一時の一割にも値しない。さればといつて徳利の價値が下つたわけではない。油皿でも石皿でもさうである。流行する時は物が少ないから需給の關係から高くなるけれども、人より先か、人より後からならば、安價に且つゆつくり樂める。
徳利の形のおもしろさは説くまでもあるまい。燒物をみる上に必要な條件を殆んど供へてゐる。茶の湯に使はるゝ徳利は千金の値を唱ふけれども、茶の湯の寸法を外れた大ぷりな徳利になれば御小使錢で樂んで求めることが出來る。
朝鮮の各種の徳利、北九州の徳利、――二川、上野《あがの》、黒牟田、百間窯等々。備前などもあるが丹波になると立杭からいろ/\な徳利が出てゐる、瀬戸附近は無論のこと、東北地方も隨分あつて、人の知らぬ仙臺の田舍まで出來てゐる。徳利の形も千差萬別、裝飾からみても繪高麗風のもの、刷毛目、筋入り、織部、赤繪等々枚擧に遑がないといふのは此のことで、徳利に憂き身をやつしても一生暮せることは請合だ。
石皿、油皿、油壺、斯ういふものは隨分集められたが、この外普通の小皿類の如き向附の離れ物の如き、水滴、水注、片口、鉢類、日常雜器のものに手をつけてゆけば絶えず研究が出來、且つ安價で、樂
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