う》をえむ。
*
われは夢む、滄海《そうかい》の天《そら》の色、哀《あはれ》深き入日の影を、
わだつみの灘《なだ》は荒れて、風を痛み、甚振《いたぶ》る波を、
また思ふ釣船の海人《あま》の子を、巌穴《いはあな》に隠《かぐ》ろふ蟹《かに》を、
青眼《せいがん》のネアイラを、グラウコス、プロオティウスを。
又思ふ、路の辺《べ》をあさりゆく物乞《ものごひ》の漂浪人《さすらひびと》を、
栖《す》み慣れし軒端がもとに、休《いこ》ひゐる賤《しづ》が翁《おきな》を
斧《おの》の柄《え》を手握《たにぎ》りもちて、肩かゞむ杣《そま》の工《たくみ》を、
げに思ひいづ、鳴神《なるかみ》の都の騒擾《さやぎ》、村肝《むらぎも》の心の痍《きず》を。
*
この一切の無益《むやく》なる世の煩累《わづらひ》を振りすてゝ、
もの恐ろしく汚れたる都の憂あとにして、
終《つひ》に分け入る森蔭の清《すず》しき宿《やどり》求めえなば、
光も澄める湖の静けき岸にわれは悟らむ。
否《あらず》、寧《むしろ》われはおほわだの波うちぎはに夢みむ。
幼年の日を養ひし大揺籃《だいようらん》のわだつみよ、
ほだしも
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