き》ことごとくしめあへず、
そよそよ風の手枕《たまくら》に、はや日数経《ひかずへ》しけふの日や、
つれなき北の木枯に、河氷るべきながめかな。
噫《ああ》、歓楽よ、今さらに、なじかは、せめて争はむ、
知らずや、かゝる雄誥《をたけび》の、世に類《たぐひ》無く烏滸《をこ》なるを、
ゆゑだもなくて、徒《いたづら》に痴《し》れたる思、去りもあへず、
「悲哀」の琴《きん》の糸の緒《を》を、ゆし按《あん》ずるぞ無益《むやく》なる。
*
ゆめ、な語りそ、人の世は悦《よろこび》おほき宴《うたげ》ぞと。
そは愚かしきあだ心、はたや卑しき癡《し》れごこち。
ことに歎くな、現世《うつしよ》を涯《かぎり》も知らぬ苦界《くがい》よと。
益《よう》無き勇《ゆう》の逸気《はやりぎ》は、たゞいち早く悔いぬらむ。
春日《はるひ》霞みて、葦蘆《よしあし》のさゞめくが如《ごと》、笑みわたれ。
磯浜《いそはま》かけて風騒ぎ波おとなふがごと、泣けよ。
一切の快楽《けらく》を尽し、一切の苦患《くげん》に堪へて、
豊《とよ》の世《よ》と称《たた》ふるもよし、夢の世と観《かん》ずるもよし。
*
死者のみ
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