に。
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伴奏 アルベエル・サマン
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白銀《しろがね》の筐柳《はこやなぎ》、菩提樹《ぼだいず》や、榛《はん》の樹《き》や……
水《みづ》の面《おも》に月の落葉《おちば》よ……
夕《ゆふべ》の風に櫛《くし》けづる丈長髪《たけなががみ》の匂ふごと、
夏の夜《よ》の薫《かをり》なつかし、かげ黒き湖《みづうみ》の上、
水|薫《かを》る淡海《あはうみ》ひらけ鏡なす波のかゞやき。
楫《かぢ》の音《と》もうつらうつらに
夢をゆくわが船のあし。
船のあし、空をもゆくか、
かたちなき水にうかびて
ならべたるふたつの櫂《かい》は
「徒然《つれづれ》」の櫂「無言《しじま》」がい。
水の面《おも》の月影なして
波の上《うへ》の楫の音《と》なして
わが胸に吐息《といき》ちらばふ。
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賦《かぞへうた》 ジァン・モレアス
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色に賞《め》でにし紅薔薇《こうそうび》、日にけに花は散りはてゝ、
唐棣花色《はねずいろ》よき若立《わかだち》も、季《と
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