に。
法苑林《ほうおんりん》の奥深く
素足の「愛」の玉容《ぎよくよう》に
なれは、ゐよりて、睦《むつ》みつゝ、
霊華《りようげ》の房《ふさ》を摘みあひて、
うけつ、あたへつ、とりかはし
双《そう》の額《ひたひ》をこもごもに、
飾るや、一《いつ》の花の冠《かんむり》。
[#ここで字下げ終わり]

ホセ・マリヤ・デ・エレディヤは金工の如くアンリ・ドゥ・レニエは織人の如し。また、譬喩《ひゆ》を珠玉に求めむか、彼には青玉黄玉の光輝あり、これには乳光柔き蛋白石《たんぱくせき》の影を浮べ、色に曇るを見る可し。[#地から1字上げ]訳者
[#改ページ]

   延びあくびせよ フランシス・ヴィエレ・グリフィン

[#ここから1字下げ]
延《の》びあくびせよ、傍《かたはら》に「命」は倦《う》みぬ、
――朝明《あさけ》より夕をかけて熟睡《うまい》する
  その臈《ろう》たげさ労《つか》らしさ、
  ねむり眼《め》のうまし「命」や。
起きいでよ、呼ばはりて、過ぎ行く夢は
大影《おほかげ》の奥にかくれつ。
今にして躊躇《ためらひ》なさば、
ゆく末に何の導《しるべ》ぞ。
呼ばはりて過ぎ行く夢は
去りぬ神秘《くし
前へ 次へ
全82ページ中71ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
上田 敏 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング